哪位懂日文的大人帮忙翻译一下这篇文

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查看705 | 回复2 | 2009-4-15 18:11:07 | 显示全部楼层 |阅读模式
学園物語



 

「おい、ゾロ、ゾロ。」

小声で隣の席のウソップが声をかけるが、ゾロは机に突っ伏したまま、一向に起きる気配がない。

「ウソップ、そのまま寝かせておけ。」

「えっ?」

教室中の誰もがその言葉に驚きを隠せなかった。




  今は古典の時間。教壇に立っているのは鷹の目ことミホーク先生。この学校で一番厳しいといわれ、当然授業中の居眠り  など許されるはずもない。先輩たちからそう噂を聞いていた1年生たちは、何があってもその授業だけは眠らないようにと注意  していたのだ。もし眠っているところをみつかれば、とんでもない量の課題をさせられたり、補修を言い渡されたり、そうでなけ  れば、成績表にはっきりと数値で表されるという噂だった。その日、間近に迫った大会に向けて朝練を終えてから教室にや   ってきたゾロは、連日の特訓のせいかかなり疲れている様子で、ミホークの前の授業では1時間いっぱい眠っていたのだ。そ  れはもう、いびきもかかず、身動き一つしないほどの熟睡だった。しかしミホークの授業ではそうはいかない。隣の席のウソッ  プが、休み時間のうちに必死に起こそうと頑張っていた。しかしその努力も叶わず、始業のベルが鳴り響き、ミホークが教室に  入ってきたときもまだゾロは眠っていた。いつもとは違い、後ろの教室から入ってきたミホークは、ウソップに

「そのまま寝かせておけ。」

と言ってから教壇に立ち、いつもどおりに授業を始めた。



  授業が終わった昼休み。ようやくゾロが目を覚ました。

「ゾロ、起きたか?」

「ん?あぁ。あれ?」

「何だ?」

「今日ってミホークの授業じゃなかったか?」

「そうだぞ。もう終わったけどな。」

「何?俺、まさかミホークの授業でも寝てたのか?」

「あぁ。起こしたのに全然起きなかったからな。」

「まじかよ・・・」

「でもさ、鷹の目が起こさなくていいって言ったんだぜ?」

「えっ?」

「そのまま寝かせておけってさ。」

「そうか。」

その後、ゾロは少し考えてから、いきなり席を立った。

「俺、謝ってくる。」

「謝る?」

「あぁ。一応、ミホークは特別顧問だしさ。」

「剣道部のか?」

「あぁ。あいつめちゃくちゃ強いからさ、怒られたり嫌味言われる前に、謝っとく。」

そう言うとゾロは教室から出て行った。




コンコン。ノックをしてから指導室のドアを開けると、そこには予想どおりの人物がいた。

「ロロノアか?」

「うん。」

「どうした?」

「寝かせてくれたんだろう?」

「疲れているようだったからな。」

「ありがとう。」

「気にするな。」

「でも・・・」

「何だ?」

「みんなが怪しんでるから。ミホークが、俺のこと寝かせたのは、何か裏があるんじゃないかって。」

「そんなに心配することもないだろう。」

「何でだ?」

「みんなが私のことを鷹の目と呼ぶ中でお前だけミホークと呼ぶだろう?その意味に気づかないような奴は放っておいても問    題なかろう。」

「そうか?」

「あぁ。それより昼食を用意しておいた。夕方もみっちりしごいてやるから、ちゃんと食べなさい。」

「おう。ミホークも一緒に食べるんだろう?」

「あぁ。それより今日は金曜日だ。練習の後、うちに泊まりに来るか?」

「うん。」

ゾロの表情を見たミホークはうれしそうに微笑んだ。

学園物語 2





 

「おい、ゾロ。起きろって。」

「んんっ。」

「もうすぐ呼ばれるぞ。」

ウソップが隣に座っていたゾロを強引に揺り起こしたのと、教頭がゾロの名前を呼ぶのはほぼ同時だった。

「ロロノア・ゾロ。」

名前を呼ばれたゾロは面倒くさそうに立ち上がり、校長の待つ壇上へとあがった。

「秋の新人戦、全国高等学校剣道選手権大会個人の部、優勝おめでとう。」

そう言って校長は賞状とメダルを渡した。ゾロは照れ隠しなのか、笑顔一つ見せず、淡々を壇上から降りた。



先日の大会でゾロが1年生ながら個人優勝を果たしたことで、学校は大騒ぎだ。確かに、もともと実力はあった。それがこの高校でいい指導者に巡り合い、才能が一気に開花したのだ。実際、試合に応援に行っていたウソップたちの話によると、ゾロの強さは圧倒的だったらしい。それなのに、当の本人はと言えば大会明けからずっとあの調子なのだ。怒っているというのとは違う気がするが、何とも近寄りがたい雰囲気を漂わせている。まぁもともとそんなに愛想のいい奴というわけではないし、笑顔を振りまくようなキャラでもない。だが、それでも今の彼よりはマシだったはずである。



「なぁ、お前何を怒ってるんだ?」

怖いもの知らずの同級生ルフィがゾロにたずねた。

「別に怒ってなんていねぇよ。」

「でも、笑ってねぇじゃん。何かあったのか?」

「何も、ない。」

「じゃあ笑えよ。せっかくサンジが美味い弁当作ってきてくれたんだぞ。お前のお祝いなんだぞ。」

「悪い。サンジ、わざわざありがとうな。」

珍しく素直に謝ってきたゾロに戸惑いながらもサンジは弁当箱を差し出した。

「そう思うなら食えよ。さっきからルフィにばっか食わせてるんじゃねぇか。」

「あぁ・・・。悪い、ちょっと疲れてるから、後はみんなで食ってくれ。」

ゾロは卵焼きをつまみながら立ち上がると、その場から歩き去ってしまった。

「何だ?あいつ。」

「さぁな。」





ゾロは怒っている訳ではない。本人はそう思っている。ただ物足りないのだ。せっかく優勝したと言うのに、小さい頃から自分をかわいがってくれた特別顧問と連絡がつかないから。優勝したと知らせるメールを打っても返事はこない。携帯に電話をしてもつながらない。家に行ってもいない。そう、要するにゾロは拗ねていたのだった。もちろんそんなこと、誰にも言わないけれど。仕事人間でろくに自分に構っていない父親でさえその日のうちに連絡してきておめでとうと言ってくれたと言うのに。それなのに、あいつは、あいつは・・・そこまで考えて落ち込む。あいつは、昔父親である刑事のスモーカーを手こずらせたという曲者で、それでもちゃんと更生して今は剣士として全国に名を馳せていて、母親を早くに亡くし、小さい頃から留守がちだった親父に頼まれてたまに子守に来てくれた。俺に剣道の楽しさと厳しさを教えてくれたあいつ。別にガキじゃないんだし、よくやったと褒めてくれとか、頭をなでてくれとか言っているわけじゃない。それでも、何かしらの反応があってもよいのではないだろうか。これってやっぱりガキなんだろうか・・・。また落ち込む。大会が終わってからずっとゾロはこんな調子で、その姿が回りには怒っていると見えていたのだった。

そんな気持ちでも部活動には顔を出す。ゾロは、恐る恐ると言った風で道場の戸を開けた。そしてそこにいたのは、ゾロがずっと会いたいと思っていた剣道部特別顧問、ジュラキュール・ミホーク先生だった。

「何で、いるんだよ。」

そう言って小さく舌打ちしながらも、内心うれしくてたまらない。それまでの落ち込みが嘘のように張り切って部活に参加した。さっきまでの落ち込みや不機嫌さなどどこかに消えて、軽快な動きで練習をこなしていく。そして練習が終わっても、

「せっかく調子いいからもう少し竹刀振ってから帰るわ。」

と知っている人間が聞けばあまりにわざとらしい台詞を吐いて、二人きりになるのを待った。





「ロロノア。」

ようやく他の部員が全員引き上げたのを確認し、ミホークがゾロに声をかけた。

「・・・」

しかしゾロは素直には返事をしない。大会が終わってからさっきまで、自分がどれだけ辛い思いをしたのか、と思えばそう簡単に答える気にはなれないのだ。

「ロロノア、優勝、おめでとう。」

その言葉を聞いて、ようやくゾロは竹刀を振る手を止めた。

「遅い。」

まだ顔は見ない。

「すまなかった。」

「どこ、行ってたんだよ。」




  そう言われて困り顔のミホーク。実はゾロの大会をこっそり見に行っていました、とはどうしても言い出せない。大会前、

「わざわざ自分が出向くまでもないだろう」

と引率を断ったものの、どうしても気になってこっそり会場に行っていたのだ。もちろん、大会終了後、電話もメールも来ていたのは知っていたが、自分の教え子ながらよくぞここまで美しく成長したと、会場では思わず涙ぐむほどだったミホークはすぐに連絡を取れば、どうしても試合のことを話してしまいそうで答えられなかったのだ。ようやく冷静さを取り戻し、今日の練習には参加したものの、さてゾロにどう説明するかはまだ結論が出ていない。そして咄嗟にひねり出した答えは、

「すまん。ちょっと風邪を引いていてな。お前に心配かけたくなくて、黙っていたんだ。」

というものだった。

「えっ?風邪?大丈夫なのか?もう治ったのか?熱とかあったのか?もう苦しくないか?」

普段は健康そのもののミホークから風邪などという単語が出てくるなど予想もしていなかったゾロはその言葉に慌てた。逆にまさかそんなに心配してくれると思っていなかったミホークも慌てた。

「も、もう大丈夫だ。心配ない。すっかり元気になった。」

「そうか、よかった。でも無理しないで今日は早く帰った方がいいな。」

「あぁ、念のため今日はもう帰るよ。」

「ミホーク、ごめんな。俺、ミホークが構ってくれないって拗ねてたんだ。風邪で辛い思いをしてるなんて思いもしなかった。ごめん。」

そう言ってうつむくゾロ。

「いいんだ。私も、素直に打ち明けておけばよかったのに、いらぬ心配をさせてしまったな。」

そう答えてミホークは、ゾロを抱きしめてしまおうかとゆっくりゾロに手を伸ばす。そのとき、ゾロがあっさりとミホークの手をはじく。

「だめだめ。風邪移ったら面倒だからこっちに来るなよ。次の大会も優勝するんだからな。そんときはちゃんと一番にお祝い言ってくれよ。」

そう言って微笑むゾロ。まだまだ前途多難な二人です。

学園物語 3





 

「ロロノア、今日はもう終わりだ。」

ミホークの声が響いた。

「どうしてだ?」

「私の目をごまかせると思っているのか?明日も試験なんだろう?それが終わってからまた改めて稽古をつける。」

そう言い残してミホークは帰ってしまった。



取り残されたゾロは、はぁとため息をついた。確かに今は試験期間中だ。その間は部活動は休止になるので、普段なら軽く汗を流す程度の自主練だけしていつもより早く家に帰って試験勉強をする。しかし今日、たまたま親父であるスモーカーに用事があるからとミホークが訪ねてきたのを、親父は留守だから俺が相手してやると、いかにも子どもくさい理屈をこねて強引に引き止めて庭で稽古をつけてもらうことにしたのだ。しかし打ち始めて数分でミホークは帰ってしまった。

「何だよ、せっかく久しぶりに一緒に晩飯食おうと思ってたのになぁ。」

そう思いながら、竹刀を片付けて冷蔵庫を覗いた。出来合いの惣菜がいくつか詰め込まれていたが、

「一人で食ったって美味くなんかねぇよ。」

と呟くと飲み物だけ取り出して自分の部屋に向かう。試験は残り1日。明日の数学と世界史の試験を終えれば、また部活中心の生活に戻れるのだ。仕方なく世界史の教科書を開いて、出題範囲を確認する。そこに出ていた歴史上の人物の写真がミホークの顔に見えてきて、イライラする。

「馬鹿・・・。」

そう呟いてその写真に髭を書き込んだら、ちょっとだけ気分が良くなったゾロだった。



一方、早々に稽古を切り上げたミホークも車に戻るなりはぁとため息をついた。

「あの馬鹿は絶対に自分でわかっていないな。」

と呟く。ミホークは打ち合いを始めてすぐに、ゾロの動きがいつもよりも鈍いことに気づいたのだ。恐らく試験前の時期だから、遅くまで勉強をしていて疲れているのだろう。ゾロは特別推薦で高校に入っているので、それほど成績を気にすることはない。ゾロの実力であれば大学も推薦で進学することができるだろうから、大事なのは規定の出席日数を割らないことと、試験を受けることだけだ。しかし授業中は居眠りしているくせに、ゾロは学年で30位程度の成績を残すことができる。友人らが、あいつは睡眠学習してるんだと言っているのをミホークも聞いたことがある。でも本当はそうではないこともミホークは知っていた。ゾロは真面目に試験勉強をしているのだ。出題範囲が確定すると、そこから一気に追い込みをかける。それでそれなりの成績を残せるのだから、もともと頭は悪くないのだろう。「それでも、自分の体調の異変には気づけないのだから、あいつは馬鹿だ。」とちょっと意地悪い声で呟いてから、ミホークは車を発進させた。





翌朝、目を覚ましたゾロはベッドから起き上がろうとして思わず

「っっつ。」

と呻いた。確かに数日前からちょっと痛いなぁとは思っていたのだ。しかし昨日、試験終わりに昼食のためにパンを買いに行こうとしていたとき、いきなりルフィが飛び掛ってきたせいで、段差のあるところでぐいっと足を踏ん張ったのが悪かったか、と思い出した。ミホークのことでイライラしてすっかり忘れていたから、湿布もしないで寝てしまったせいで、恐る恐るパジャマのズボンを捲り上げてみれば右膝が赤くなって腫れていた。

「今日は休めないしなぁ・・・」

何とか体を伸ばし、トレーニングのときに使っている少し重い木刀を手に取り、それを杖がわりにして体を起こす。スモーカーは仕事でまだ帰ってくる気配もないので、自力で何とかするしかない。とりあえずリビングに行って湿布を探し出し、膝に冷たい湿布をぺたりと貼り付けた。その後、必死の努力で着替えを済ませると、電話でタクシーを呼ぶ。タクシーを呼ぶ間に、ふと思いついてミホークにも電話をかけた。

「おはよう。」

「どうした?」

「これから30分くらいで学校に着くから、裏門で待ってて。」

「はぁ?」

「よろしく。」

詳しいことを聞かれる前に用件だけ伝えて電話を切った。ミホークはちょっと怒ったようなゾロの口調を不審に思いつつ、言われたとおり、いつもよりちょっと早めに学校に向かうことにした。

ミホークが裏門に立っていると、一台のタクシーが近づいてきた。最初は他の先生の誰かかと思ったが、そうではなかった。ドアが開いてもなかなか乗客が降りてこないのでどうしたのかと近づいてみれば、後部座席に座っていたのはゾロだった。\n
「ロロノア?」

「ミホーク、手、貸して。」

「どうしたんだ?」

「起きたら、膝、腫れてて。」

「だったらすぐに病院に行け。」

「だって試験だし。」

「お前なぁ。」

「試験受けないと、やばいだろう?今日は2教科だけだから、何とかなると・・・」

「ちょっと見せてみろ。」

「いや、その前に下りないと運転手さんに迷惑だから、手貸して。」

「わかった。」

上半身を車に乗り入れるようにして、座ったままのゾロの体をぐいっと引っ張る。傷に響いたのか、うっとゾロが呻く。\n
「大丈夫か?」

「うん。」

「お金は?」

「払った。」

「よし。」

とミホークが言うので、何かと思ったら、それはミホークが気合を入れる声だったのをミホークの腕に抱えられてからゾロは知った。

「何するんだ!恥ずかしいから下ろせ。」

「痛むんだろうが。おとなしくしてろ。」

ミホークはそのまま校舎に入り、1階にある保健室へと向かった。



「ロロノア、ノック。」

言われたとおりにゾロがドアをノックすると中から

「開いてるよぉ。」

とのんびりと間延びした声が聴こえた。

「手が塞がっているから、開けてくれ。」

とミホークが答えると、

「面倒くさいなぁ、もう。」

と言う声がしてドアが開いた。

「何やってんの?」

驚いて聞いてきたのは、この部屋の主、養護教諭のシャンクスである。

「悪いがベッド借りるぞ。」

そう言うとシャンクスを押しのけるようにして部屋に入り、ベッドにゾロを横たえた。

「見せてみろ。」

「いいけど、そっとだぞ。そっと。」

と答えるゾロ。言われたとおりにゆっくりとズボンを捲り上げ、膝の状態を確認した。湿布が張られていても、かなり腫れているのがわかる。

「馬鹿者。」

「だって・・・」

「シャンクス、ちょっと診てやってくれ。」\n
「何?」

シャンクスはミホークの後ろからゾロを覗き込んで、

「ひでぇことになってるなぁ。痛いだろう?それ。」

と言った。

「病院、行った方がいいぞ。」

「でも、試験あるし・・・」

「受けれんの?そんな状態で、試験。」

「おう。大丈夫だ。」

そのやりとりを聞いたミホークが

「教室にも一人で行けないような奴が偉そうに言うな。」

と言ってゾロの頭をぽかりと叩いた。

「暴力反対。」

「うるさい。とりあえず俺は教頭のとこに行ってくるから、シャンクス、頼んだぞ。」

「了解。」



ミホークが出て行った後、湿布を変えてもらい、ついでにと額に冷却シートを貼ってもらった。

「熱まで出てるのに、馬鹿だな、お前。」

「うるさい。」

「痛み止め、飲むか?」

「だめ。眠くなる。」

「じゃあせめて、試験開始まで寝てろ。」

「ずきずきして、寝れねぇ。」

「仕方ねぇなぁ。」

と言って呼びの枕を膝の下にそっと入れてやるシャンクス。

「足、上げとけば少しは楽だろう?」

「ありがとう。」

素直に礼を言うゾロを見て、シャンクスも柔らかく笑って

「どういたしまして。」

と答えた。心の中で、うーん、やっぱりかわいいなぁとシャンクスが考えていることなどゾロは全く気づいていなかった。



そこへミホークが戻ってきた。

「ここで試験受ける許可、もらってきたぞ。」

「助かった。」

「試験監督は、俺がやるからズルはするなよ。」

「んな余裕、あるように見えるか?」

「見えないな。」

「あのさぁ、もう始めちゃだめか?」

「ん?」

「さっさと終わらせたい。」

「まぁ、いいだろう。筆記用具出せ。」

「そこのカバンの中。」

とゾロが言うのでミホークがカバンから出して差し出す。ミホークとシャンクスが二人がかりでゾロのことを机のところまで運び、痛む右脚を椅子に乗せさせる。

「最初は世界史だ。試験時間は45分。記名を忘れないように。では、始め。」

ミホークが答案を出してやると、ゾロは最初に名前を書き込み、その後さらさらと答えを書き込んでいった。一度も消しゴムを使うことなく全てのマスに答えを埋めると、

「終わり。」

と自分で試験を終了させた。

「見直さなくていいか?」

「あぁ。いつもそんなのしたことねぇし。それより、数学もやっちゃいたい。」

「そうか。でも休憩はいらないのか?」

「いらない。それより、さっさと終わらせたい。」

と言ったゾロの顔は、先ほどまでよりもきつそうだ。

「大丈夫か?」

「ちょっと、きついかも。」

そのとき、シャンクスがコップに水を入れて差し出した。

「喉、渇いただろう?」

「ありがとう。」

両手でコップを受け取り、一口だけ飲んでからゾロはコップを置いた。

「じゃあ、さっさと片付けるか。」

試験問題を机に裏向きに乗せたミホークが、先ほどと同じように

「試験時間は45分。記名を忘れないように。では、始め。」

と言うと、ゾロは問題に取り掛かった。先ほどまでよりは苦労しているのか、手の動きは遅い。時々、問題を読み込んでいるように見せながら、手を額に当てて顔を隠し、痛みをやり過ごしている。20分を過ぎたところで、痛みをこらえきれなくなったのか、右手を太もものあたりにおいて、圧迫するようにして痛みをこらえた。その後改めてゾロは問題に向かい、残りの問題を片付けると

「もう、限界・・・」

と言って机に突っ伏した。

「もういいのか?」

「うん。」

「お疲れさん。」

と言ってシャンクスがゾロを抱き上げてベッドに寝かせる間に、ミホークが答案を回収した。

「それではシャンクス、後は頼むぞ。」

「どこ行くんだ?」

「俺は、次の時間は試験監督が当たっているからな。任せる。」

「いいのか?」

「何がだ?」

「付いてて、やりたいんじゃねぇの?試験監督なら、俺が代わりに・・・」

「俺がいても、何の役にも立てん。怪我をした生徒の世話をするのは、お前の仕事だろうが。」

と言い置くと、ミホークは保健室を後にした。

「ったく、素直じゃねぇの。おっと、先にゾロだな。」

ゾロは、熱が上がったのか顔を真っ赤にして、はぁはぁと苦しそうな息になっていた。額に触れると思ったよりも熱い。

「薬飲ませるより、病院だな、こりゃ。」

内線で教頭に連絡を入れ、ついでにタクシーを呼んでもらう。右膝にできるだけ触れないように注意しながらそっとゾロを抱き上げて玄関に向かった。



ゾロがはっきりと覚醒したのは、病院の診察台の上だった。誰かがしゃべっている声が聴こえる。ミホークかな、と思ったが目に飛び込んできたのは真っ赤な髪だった。

「シャンクス先生?」

と小さな声で呟くと、

「おっ、目覚めたか。」

と言う声が返ってきた。しかし自分のところに来たのはかなり老齢と思われるにもかかわらずエネルギーに満ち溢れたこの病院の名物医師、くれはだった。

「この馬鹿が。痛かったらとっとと病院に来ればいいものを、こんなに悪化するまで放っておくなんて馬鹿なことして。」

「いや、昨日までは、そんなに・・・」

「少しは痛かったんだろう?大体、今まで何ともなかったのなら、こんなに腫れたり、熱が上がったりはしないんだよ。馬鹿患者。」

そう言うとくれははごつんと音がでるほどゾロの頭を叩いた。

「痛ぇよ。」

「だったら、これからはこんな無茶、するんじゃないよ。10日は安静にすること。部活なんてもっての他だからね。」

「えぇ?!」

「病院ででかい声出すんじゃないよ。迎えにくる親はいるのかい?」

「仕事に出てるからいねぇ。」

「だったら入院だね。」

「入院?!」

「だからでかい声出すなって言ってるだろうが。親がいないなら、飯の支度もできないだろうが。入院の手続きするよ。」

「家に帰る。」

「駄目だ。」

「大丈夫だって。明日には帰ってくると思うし・・・」

「だったらそれまでは入院だよ。そこの先生、代わりに手続きしときな。」

「了解。ゾロ、あきらめろ。この医者に敵う訳ねぇよ。」

「何か言ったかい?」

「いえいえ。じゃ、ゾロ。とりあえず必要な手続きしてくるから。それとも誰か他の人に来てもらうか?」

一瞬、ゾロの頭にミホークの顔が浮かんだが、それを打ち消し

「お願いします。」

と答えた。

「こっちも素直じゃねぇなぁ・・・。ま、いいか。お前はもう少し休んでな。」

そう言ってゾロの頭をぽんぽんと優しく叩いてから、シャンクスは部屋を出て行った。



まず学校に連絡し、今日はゾロに付き添うことになりそうなので、学校には戻れないことを報告し、ついでにゾロの父親であるスモーカーの職場の電話番号を確認した。すぐに電話をかけてみたが、思ったとおりスモーカーはつかまらず、ゾロが入院することになったと伝言を頼んだ。その後、売店で当面必要なものを購入し、ゾロの病室に戻った。ゾロは薬が効いているのか、静かに眠っているようだったので起こさないように気をつけながら、買ってきたものを枕元の台に片付けていると、ゾロが目を覚ました。

「気分はどうだ?」

「まだ眠い。」

「そうか。ここ、完全看護だから泊り込みの看病はできないんだと。一人で大丈夫か?」

「うん。色々、ありがとう。」

「いえいえ、どういたしまして。明日の朝、また様子見に来るからな。」

シャンクスは面会時間の終了時間である5時に帰って行った。

夕食の時間、伝言を聞いたというスモーカーから連絡が入り、明後日、月曜の午前中には仕事がひと段落つくと思うから、それまでおとなしく入院しておくようにと言われた。ゾロは夢うつつの状態でその伝言を看護師から聞いて、小さくうなずくとそのまま眠りに落ちた。



夜、心配のあまりなかなか仕事が捗らなかったミホークは、10時過ぎに学校を出た。もう病院の面会時間は終わっているだろうが、知り合いだといえば寝ている顔くらいは見られるかもしれない。そう思ってゾロが入院している病院に向かった。

「父親から連絡を受けて、顔を見てきてほしいと言われた」

とウソまでついて裏口から入れてもらい、ゾロの病室に向かう。ナースステーションでも同様に説明し、病室を教えてもらうとそこに向かったが、ベッドにゾロの姿がない。何事かと思い、付近の廊下を捜して見ると、奥の方に蹲っている人影を見つけた。

「ロロノアか?」

「ミホーク?」

「あぁ。どうしたんだ?お前、こんなところで。痛いのか?」

「助かった・・・」

「何?」

「トイレ、連れてけ。」

「はぁ?」

「いいから、早く。」急かされたミホークは、ゾロの体をひょいと横抱きにすると、目の前にあったトイレに駆け込んだ。



「間に合った・・・」

個室から出てきたゾロはほっとしたように呟いた。

「トイレに行きたくなって、ここまで歩いてきたのはいいんだけど、転んじまってさ、起きられないし、大声出す訳にもいかないし、どうしようかと思ってたんだ。助かった。」

「そうか。」

「ところで、どうしてここに来たんだ?」

「お前のことを冷やかしに来た。」

「こんな夜中にかよ。」

「仕事が終わったのがこの時間だったんだ。仕方がなかろう。」

「そうか。でも、本当に助かった。ついでにさ、病室まで運んでくれねぇ?」\n
そう言ってミホークの首に手を回す。ちょっとドキドキしながらも、ミホークは再びゾロを抱き上げた。安心したのか徐々にまぶたが重くなってきたゾロは

「ありがとう・・・」

そう小さい声で呟き、眠ってしまった。寝ている怪我人相手に自分の気持ちをぶつけることもできず、ミホークは静かにゾロをベッドに寝かせると病室を後にした。

学園物語 4





 

膝の怪我は完治してはいないものの、スモーカーが病院に迎えにきたことでようやく退院を許可されたゾロは、未だ家で静養中だった。とりあえず試験も無事に受けることができたので、無理に登校することもないだろうと、家でのんびりしていたのだが、今回はたまたま父親であるスモーカーもちょうど仕事が一区切りする時期だったらしく、男二人で家の中で顔をつき合わせているという珍しい光景だった。

ただスモーカーは、この機会にゾロに話したいことがあった。これまでなかなかゆっくり一緒に家にいることがなかったので、今回、ゾロとじっくりと話をしようと思っていた。



その日、スモーカーが作った夕食を食べた後、お茶を煎れながら話を切り出した。

「ゾロ、ちょっと話したいことがあるんだが、いいか?」

「話?何?」

「そのな、実はな・・・」

「何だよ、珍しく改まって。」

「いや、その、再婚、しようかと思ってるんだ。」

突然のスモーカーの告白にゾロは驚いて目を瞠った。

「再婚、したいってこと?それとも再婚したい相手ができたってこと?」

それでもかろうじて平静を装ってゾロは尋ねた。

「相手は、決まってる。」

「そっか。誰?俺が知ってる人?」

「職場の人間だ。たしぎって奴、覚えてるか?」

「あぁ。剣道、やってた人だろう?あの人なのか?」

「そうだ。」

「随分、若いの、選んだんだな。」

「嫌か?」

「俺が嫌だって言ったら、やめんの?」

「そうだな。」

「何だよ、それ。俺のこと、いくつだと思ってるんだよ。別に親父が再婚するのに駄々こねるような年じゃねぇし。」

「いや、それはそうだが。」

「俺みたいなコブつきの中年男のとこに来てくれる人なんてそうそういないだろう?大事にした方がいいんじゃねぇの?もし、俺が邪魔だって言うなら、この家出て行くからさ。高校の寮もあるし。だから、俺に余計な気を使わなくていいよ。」

「ゾロ・・・」

「あっ、もしかしてたしぎさんのとこに挨拶とか行かなきゃなんねぇの?俺も。」

「いや、まだそこまで話はしてないけど、でももしお前さえ良ければ、一度一緒に食事でも、とは思ってる。」

「そう。じゃ、日付決まったら早めに知らせてくれよな。全く、珍しく神妙な顔してるから、何事かと思ったじゃねぇか。話、それだけなら、俺、ちょっと出てくる。」

「どこに行くんだ?」

「くれは先生がさ、そろそろ軽いトレーニングならいいって言ってたから、その辺、歩いてこようと思って。食うだけで運動しないと、体重増えちまうからな。」\n
「そう・・・か。無理、するなよ。」

「わかってるって。」

ゾロはそのまま外に出た。玄関のドアが閉まったのを確認して、大きく肩で息をつく。

「ガキじゃあるまいし、何、動揺してんだよ。」

そう自分に悪態をついてから、歩き出した。





ピンポーン。

突然鳴り響いた玄関のチャイムの音に、ミホークは顔を顰めた。今日は来客の予定もないし、ゾロはまだ部活を休んでいるので、さっさと仕事を切り上げて家でのんびりしようと思っていたのに、一体誰だろうかと思いながらインターホンの受話器を持ち上げた。

「どなたですか?」

「ミホーク?ごめん。俺だけど。」

「今、開ける。」

俺と言われただけで、相手が誰だか悟ったミホークはそそくさと玄関に向かい鍵を開けた。ドアを開けると、そこに立っていたのは思ったとおりゾロだった。だが、この寒空の下、ここまで歩いてきたのか、その体は冷え切っているようだ。

「どうした?」

「ごめん、いきなり。」

「いいから、とにかく入れ。膝を冷やすのは良くないのだろう?」

そう言ってゾロを上がらせると、暖房の設定を上げて、温風の吹き出し口の傍に座らせた。

「膝の調子はどうだ?」

「今日も、病院行ったんだけど、くれは先生がそろそろ軽いトレーニングならしてもいいって。」

「この寒い中、ここまで歩いてくるのは軽いトレーニングとは言わないと思うがな。」

「最初からここに来るつもりじゃなかったんだけど、気づいたら、近くにいたから・・・」

「そうか。何か飲むか?」

「うん。」

「ホットミルクでいいか?」

「ちょっと甘くしてくれる?」

「わかった。」

ミホークはそのままキッチンに向かった。何かあったのだろうとは思ったが、まだゾロはそれを口にしない。暖かいものでも飲ませて、少しリラックスさせてから聞き出せばいいかと思いながらミルクパンを火にかけた。



ミホークがいれてくれたホットミルクを飲みながら、ゾロは自分の体が随分冷えていたのだと実感していた。最初からここに来るつもりではなかったが、気が付いたら足がここに向かっていたのだ。じんわりと体が温まってきて、体の力がふっと抜けていくのを感じた。

「何かあったのか?」

絶妙のタイミングでミホークが聞いてきたので、素直に答えた。

「俺って、やっぱ、ガキなのかな。」

「どうした、いきなり。」

「親父、再婚するらしい。」

「スモーカーが?」

「あぁ。母さんのことは、俺、小さかったからあんまり覚えてないし、親父のこと、独占したいって年でもないからさ、別に、親父が再婚するのは構わないんだ。その相手ってのも、剣道やってる人で俺も知ってる人だしさ、俺がいるってわかってて結婚してくれるんだから、ありがたいことだって思うし。でも、何でかわかんないけど、何かショックだったんだ。何がショックなのか、何でショックなのか、よくわかんねぇけど。」

ゾロはそこまで言ってから、一度言葉を切り、残っていたミルクを飲み干した。

「結婚に反対するつもりなんて、もちろんないし、もし俺が邪魔なら、学校の寮に移ってもいいと思ってる。それなのに、どうして、辛いって思うんだろう。」

そう言うとゾロは縋るような目でミホークの顔を見つめた。自分で答えを見つけられないから、教えてくれ、と訴えるように。



ミホークは、コーヒーの入ったマグカップをテーブルに置き、ゾロの顔をまっすぐに見つめ返した。

「ロロノア、家族が増えるというのはそういうことなんだと思うぞ。」

「家族が、増える・・・」

「それまで、知り合いだとは言え、他人だった人間が家に入るんだ。たとえ嫌いな相手ではなくても、警戒したり、不安になったりするのは当然だろう。特にお前は、これまでスモーカーと二人で特に不自由なく暮らしていたから、いきなり生活が変わると言われて戸惑っているのだろう。」

「そう、なのかな。」

「無理にお前が変わることはないんだ。そういうのは、時間がたてば慣れてくると思う。だから遠慮しないで、思ったことを口にすればいい。自分のことを、邪魔だなんて思う必要はないからな。」

「でもさ、やっぱり親父が再婚すれば、あの家にはちょっと居づらいかなぁって。」

「そうか。もしどうしても居づらくなったら、ここに来い。」

「えっ?」

「お前の避難所くらいには、なってやる。」

「ミホーク・・・、いいの?」

「あぁ。だから何かあれば、今日みたいにこの部屋に来い。」

「じゃあ、今日、ここに泊まってもいい?」

「あぁ。その代わり、スモーカーにはちゃんと自分で連絡しろよ。」

「わかった。電話、貸して。」

ゾロが言われたとおりに家に電話を入れている間に、ミホークはゾロのためにと着替えを用意し、風呂に湯を張った。



「電話、した。」

「何か言ってたか?」

「明日、迎えに来るって。」

「そうか。今、風呂の用意をしてるから、入って来い。着替えも貸してやる。」

「ミホーク、ありがとう。」

「気にするな。それより、早く部活に出られるように、膝、早く治せよ。ちゃんと暖まるまで、出てくるな。」

「わかった。」

素直にうなずいて、受け取った着替えを大事そうに抱えてバスルームに向かうゾロを見送るミホークは、理性と欲望の狭間でもがいていた。今はまだ、そのときではないと必死に自分を抑えこんだところに、湯上りで顔を火照らせたゾロが現れて、ミホークは再び頭を悩ませた。

「俺の理性はいつまでもつのだろうか・・・」

今夜は眠れそうにないミホークだった。

似乎是未完结,哪位桑帮忙翻译一下?
“All I want is ur luv” “Then let me give it to u” so loki took。
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鬼澈 | 2009-4-15 18:13:10 | 显示全部楼层
[url]http://book.geocities.jp/workforloveandtear/workforloveandtear-novels.html[/url]
这个是网址,有兴趣的桑也可以去看看,ALLZORO的~
“All I want is ur luv” “Then let me give it to u” so loki took。
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匿名 mizer29 | 2009-4-15 21:39:45 | 显示全部楼层
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